どうも『はたらく×くらす』を木と鉄で育む建築屋 丸善工業3代目の長善規(@maruzen3rd)です。
ついに完成した実家リノベ。
実は構想からすでに10年近く経過しています。
そもそもきっかけは祖母の介護問題からでした。
実家はキッチンとダイニングの間に段差もあれば、冬は極寒という無断熱住宅。
足を悪くした祖母の運動量が日に日に落ちてきたのはいうまでもありません。
80を過ぎた祖母にとって長年住み続けてきた実家は決して快適な暮らしができているとは言えませんでした。
「暖かくバリアフリーの家でゆったりと暮らしてほしい」
孫一同そんな想いを抱いていました。
それでは「実家リノベ」に取り掛かろうかと準備を始めた頃です。
祖母が家の外で転倒してしまいました。
幸い骨折などなかったものの、打ち身により寝たきり生活が始まったのです。
キッチンに野良仕事にと活動的に過ごしていた祖母。
寝たきり生活は活動量のみならず認知症の発症にも繋がりました。
要介護認定となり介護生活が始まってしまったのです。
これからリノベするぞと準備を始めた矢先のことでした。
認知症患者の症状として「人の名前を忘れる」「自分の家をわすれる」「食事を忘れる」などが挙がります。
これは祖母も例外ではありませんでした。
自分の家を我が家と思わず、生まれ育った祖母の実家に帰ると言い出したり、
亡くなっている祖父は出稼ぎに出かけていると言い出したり、
実の息子の父を忘れてしまったり、
入浴や食事、排泄に介助が必要になってしまいました。
こうなってしまってはリノベーションは不可能です。
リノベーションで古い我が家を綺麗で暖かい家に変身してしまうと
自分の環境の変化からますます認知症は進んでしまうことでしょう。
施設に入ってもらうことも検討しましたが、父は自分で介護すると自宅介護を続けていきました。
実家の離れで暮らしていたわたしたちも介護のお手伝いをすることになりました。
これがなかなか大変でした・・・。
ケアマネージャーさんと連携しながらデイサービスや介助をするのですが、
デイサービスに行きたがらない・嘘をつく・洗濯物を隠す・食器を隠すなどなど。
これではリノベーションどころではありません。
自分たちの子育てを行いながらの介護は本当に大変でした。
認知症を発症して約2年。祖母は最後眠るように旅立っていきました。
そして喪にふくしながら日常生活を取り戻していきます。
と思いきや今度は父が急に倒れました。
ゴルフ場でめまいで倒れてそのまま緊急入院です。
心臓に疾患がみつかり手術する運びとなりました。
今度は仕事をしながら入院先の父のところへ荷物を運んだり洗濯物を持ち帰ったりと大忙しです。
無事に手術も成功して退院することができました。
そこでようやく「実家リノベ」の準備にかかりました。
のんびりしている暇はありません。
父73歳、わたし&妻43歳、長女14歳、次女12歳、長男5歳。
実家をこれからまた50年、安全に安心して心地よく暮らせるように。
完成した実家はまさに快適そのもの。
温度差も段差もないバリアフリーはもちろんのこと、
自然素材に包まれた人が集まる間取りになりました。
次の世代へ受け継ぐ準備期間は長いようであっという間です。
ましてや家族の介護や子育て事情によって左右されます。
早め早めに家族間で話し合っておく必要がある。そう思いました。
この年末年始はゆったりと親戚一同がみんなで集うことができそうです。