昨年の12月、私は人生で初めて本格的にマラソンを始めた。
きっかけは、決して格好いいものではない。体重85kg、コレステロール値の異常、高血圧。頭痛と不眠に悩まされ、病院通いが日常になっていた。このままではいけない。そんな切迫した危機感が、私を走らせた最初の理由だった。
メディカルダイエットで9kgの減量に成功し、身体が軽くなった。走れる距離も少しずつ伸びていく。そんな変化を実感する中で、4月に小山さくらマラソンの10kmに出場した。沿道からの応援、ゴールテープを切った時の達成感―それは予想以上に心を揺さぶるものだった。
「どうせやるなら、いけるところまで行ってみよう」
7月、小布施見にマラソンでハーフに初挑戦。結果はズタボロだった。それでも、エイドステーションの美味しい補給食に救われ、なんとか完走できた。夏場は猛暑で思うように走れなかったが、9月の渡良瀬遊水地ハーフマラソンでは2時間以上走り切れる身体になっていた。
そして11月、ついに初のフルマラソン―群馬マラソンに挑む。制限時間は6時間。完走できるかは正直わからない。ただ、挑戦した先に何かがあると信じている。
「なぜ走っているんだろう」
走りながら、何度もそう自問する。楽しいとは言い切れない。むしろ苦しい時間の方が長い。それでも確実に体力はついてきたし、体型も維持できている。仕事にも、趣味のゴルフやハンドボールにも好影響が出ている。
この先、どこまで走り続けるのか。正直なところ、まだわからない。ただひとつ言えるのは、限界を超えた先にいる自分を知りたいということだ。そこに、走り続ける理由がある。いくつになっても挑戦はし続けたいものだ。