【季節を感じる暮らし方】
先日は中秋の名月。我が家でもお月見をすることに。長男くんと一緒に窓際に座り、秋の夜空に浮かぶ満月を眺め…られませんでした。雲多すぎ。
私が子どもの頃から父は毎年お月見の日になると、ご近所の河原からすすきを取ってきて、お団子と一緒に縁側に飾ってくれました。自営業で仕事が忙しい父でしたが、季節の行事だけは欠かさず大切にしています。
昔の縁側ですすきの穂が月明かりに照らされて銀色に輝く様子を、今でも鮮明に覚えています。カタチだけは整えて、夜には近所の飲み屋にフラッと出かけてしまう父ですがw
そんな原風景が今の私の仕事の原点になっているのかもしれません。
家づくりに携わる中で、私が最も大切にしているのは「季節を感じられる住まい」です。エアコンで一年中快適な温度を保つことは確かに健康的にも大切です。
それ以外に春の風が窓から吹き込む心地よさ、夏の夕暮れ時の涼しさ、秋の移ろいを楽しむ窓、冬の日だまりの温かさ。そうした季節の移ろいを五感で感じられる家って心豊かな暮らしを育めそうですよね。
縁側や深い軒、大きな開口部、自然素材の使用。これらは単なる設計要素ではなく、住む人が季節と対話するための装置です。畳の上に寝転んで天井を見上げたとき、木の香りがふわりと漂うとき、人は自然の一部であることを思い出します。
お月見のお団子を頬張り、子どもたちと話しました。「今度のお月見のときら月が見えるといいね〜」と。季節の行事を通じて受け継がれていく記憶と想い。それもまた、家が育む大切なものだと感じています。
これからも、季節を感じ、季節とともに生きる家づくりを続けていきたいと思います。