夢のフルマラソン、そして予期せぬ痛み
人生初のフルマラソンとして選んだぐんまマラソン。
沿道の温かい声援を受けながら、なんとか完走することができたあの感動は今でも鮮明に心に残っています。ゴールテープを切った瞬間の達成感、完走タオルで記念写真を撮ってもらった喜び、でもその喜びは長くは続きませんでした。
レース翌日から右膝の外側に違和感を覚え始めたんです。最初は「筋肉痛だろう」と軽く考えていたけれど、日を追うごとに痛みは増していくではありませんか。階段の昇り降りが辛くなり普通に歩くことさえ困難に。特に膝を曲げ伸ばしする動作で、膝の外側に鋭い痛みが走るようになりました。
治療院での診断─「腸脛靭帯炎」
不安を抱えて行きつけの鍼灸治療院を受診しました。担当者が私の膝を丁寧に触診し、痛みの箇所を確認すると「これは典型的な腸脛靭帯炎ですね。ランナー膝とも呼ばれています」とおしえてくれました。
腸脛靭帯炎とは、太ももの外側を走る腸脛靭帯が、膝の屈伸運動を繰り返すことで大腿骨の外側と擦れ、炎症を起こす症状だという。特にマラソンのような長距離走で発症しやすく、ランナーの膝障害の中でも代表的なものらしい。
「初マラソンで張り切りすぎましたね」と担当者は苦笑。確かに、月間総距離が100kmもいかないような準備不足のまま42.195キロを走り切ったことが、膝に過度な負担をかけたのかもしれません。幸い靭帯の炎症のみということで適切な治療とリハビリで改善できるとのことでした。
治療の開始─まずは炎症を抑える
治療はまず炎症を抑えることから始まりました。まずは炎症部分への鍼治療、これがズシンとした痛みが走ります。電気を加えて張っている筋肉を和らげて、超音波治療を受けることになりました。患部に超音波を当てるとじんわりと温かさを感じる程度だけど、これが深部の炎症を和らげるのだという。1回15分ほどの治療だが、回を重ねるごとに痛みが和らいでいくのを実感できました。
アイシングも日課となりました。特に入浴後は患部が温まっているため、氷嚢で15分ほど冷やします。サウナあまり推奨していなかったけれどむくみをとるのと水風呂に入りたくてマラソン完走後から2日に一回ペースで通いました。
途中身体が疲れてしまっていたのか発熱もありましたがなんとか回復できてホッとしました。
ストレッチ─硬くなった筋肉をほぐす
炎症が少し落ち着いてきた頃からストレッチを開始しました。腸脛靭帯炎の原因の一つは太ももの外側の筋肉や靭帯の柔軟性不足にあるといいます。硬くなった組織をほぐすことで、再発防止にもつながるとのことです。
特に重点的に行ったのが、腸脛靭帯のストレッチです。立った状態で右足を左足の後ろに交差させ、上体を左に倒します。太ももの外側が伸びるのを感じながら、30秒キープ。これを1日3セット。最初は痛みで十分に伸ばせなかったが、徐々に可動域が広がっていった気がします。
また、大腿四頭筋やハムストリングスのストレッチも欠かせません。膝周りの筋肉全体のバランスを整えることが大切だと教わりました。お尻の筋肉である大殿筋のストレッチも効果的で、仰向けに寝て膝を抱え込む動作を繰り返しました。
フォームローラーを使った筋膜リリースも取り入れました。太ももの外側をローラーに乗せ、体重をかけながら転がします。これが予想以上に痛い。痛みを感じる箇所ほど筋膜が癒着している証拠だというので歯を食いしばりながら続けると、次第に痛気持ちいい感覚に変わっていきました。
リハビリ─段階的なトレーニング再開
炎症が治まり、ストレッチで柔軟性が向上してきたところで、いよいよリハビリトレーニングが始まりました。いきなり走り出すのではなく、段階を踏んで膝の機能を回復させていく流れです。
まずは筋力トレーニングから。特にお尻の筋肉である中殿筋を鍛えることが重要だというので横向きに寝て、上側の足を上げ下げする運動を毎日30回。地味ですが、これが膝の安定性を高めるのに効果的と。
ウォーキングは平地を15分からスタートです。痛みが出ないことを確認しながら、徐々に時間を延ばしていく予定です。30分、45分、1時間と、慎重に、焦らず、慌てず。
まだ走り始めてはいませんが12月・1月の大会に向けてゆっくり調整しようと思います。
学んだこと、そしてこれから
腸脛靭帯炎との闘いを通じて多くのことを学びました。
最も大きかったのは「体の声を聞く」ことの大切さです。
マラソンへの情熱が先走り、準備不足のまま無理をしてしまった自分を反省しています。
現在はストレッチを毎日欠かさず行っています。またフォームローラーも習慣になりました。
何より、走る前後のケアの重要性を身をもって理解しました。・
次のマラソンに挑戦する日を夢見ながら今は焦らず、確実に体を作り直している最中です。体重も少し減らすために「あすけん」に登録してダイエットを始めました。
ランナー膝という試練はまだ途中ですが、正しいトレーニング方法と体のケアについて深く学ぶ機会となりました。この経験を活かし、より賢いランナーとして、いつかまたスタートラインに立ちたいです。


