地域で育む、つながりの力――スポーツフェスティバルに参加して
秋晴れの週末、地域のスポーツフェスティバルが開催された。コロナ禍以前は地区対抗運動会として親しまれていたこのイベントも、時代に合わせて個人参加型のスポーツ体験へと姿を変えた。しかし、変わらないものがある。それは、世代を超えて地域の人々が集い、笑顔を交わす温かな空気だ。
多彩な種目で楽しむ一日
会場には50m走、モルック、ストラックアウト、フリースロー、グランドゴルフ、キックターゲットなど、様々な競技ブースが並ぶ。さらに走り方教室やヨガ教室も開催され、小さな子どもから年配者まで、誰もが気軽に参加できる工夫が随所に見られた。
私は50m走のゴール係としてタイム測定を担当したのだが、その盛り上がりには驚かされた。10回以上走る参加者もいるほどの熱気。中でも印象的だったのは、走り方教室の効果だ。
末っ子の長男は教室受講後に試走し、明らかにフォームが改善されていた。私自身も試しに走ってみたところ、受講前の7.85秒から7.50秒へとタイムが短縮。40代の平均記録が8.32秒というから、まずまずの結果だろう。股関節と肩甲骨周りをしっかりほぐすことの重要性を、身をもって実感した瞬間だった。
懐かしさ漂う、昭和の香り
イベントのフィナーレは、全員参加のじゃんけん大会。三等は電子レンジ、二等は自転車、そして一等はなんとテレビ。どことなく昭和を感じさせる景品のラインナップに、会場からは笑いが起こる。BGMとして流れる昭和歌謡も相まって、懐かしくも温かい雰囲気に包まれた。
今年も大きな怪我なく無事に終了。来年また50m走に挑戦すれば、自分の身体が衰えているのか、それとも鍛えられているのかがわかる。そんな楽しみができたことも、このイベントの収穫だ。
顔の見えるコミュニティの価値
栃木市の東端に位置する国府地区は、自然豊かで子育てに最適な環境だ。春にはソフトベース、秋にはスポーツフェスティバル、冬にはソフトバレーと、年間を通じて世代を超えた交流が盛んに行われている。
私たちが住む西区では「西区祭り」という催しもあり、住民はワンコインで飲み放題・食べ放題、ビンゴや子ども向けのおもちゃプレゼントなど、楽しい企画が満載だ。毎年参加していると自然と顔馴染みが増え、ママ友・パパ友のネットワークも広がっていく。
最近では移住者も増えてきた。隣近所が誰かわからない都会の暮らしより、適度な距離感を保ちながらも顔の見える関係性がある地域で子育てをしたい――そんな価値観を持つ人が増えているのかもしれない。
どこで暮らすか。それは人生における大きな選択だ。もし考える余地があるなら、こうした地域コミュニティの存在も、選択肢の一つとして心に留めておいてほしい。